自分の指導では筋にフォーカスしたトレーニングではなく、動きに基づいたトレーニングである「Movement Based Training」を指導しています。

しかし、エクササイズの最中にどこの筋肉を使っているか、それらの筋の収縮感を適切に感じられることはトレーニングにおいて非常に重要です。

適切な筋の収縮を感じる必要性

筋収縮を感じるべき理由は大きく以下の2つ挙げられます。

1. 適切なアライメントで筋を使えていることを示唆する
2. 脳に求心性刺激を与える

1. 適切なアライメントで筋を使えていることを示唆する

エクササイズは関節の動きがあって行われます。関節運動にはアクセサリーモーション(副運動)と言われる滑り運動・転がり運動であったり、仙腸関節の動きなど、目では確認することが難しいレベルの運動が多く存在します。

目では確認することが難しいので他の何かを指標にする必要がありますが、その一つが筋の収縮です。筋収縮を感じられる=筋が適切に発火出来ているということは、適切なアライメントで筋が使えていることを示唆します。

 

簡単な例ですが、骨盤前傾位での股関節外転運動では大腿筋膜張筋が動員されやすくなりますが、骨盤が適切なアライメントでの股関節外転運動では中殿筋が動員されやすくなります。

股関節外転運動やシェルエクササイズで大腿筋膜張筋が発火する傾向があるクライアントに対し、息を長く吐かせる等のアプローチで骨盤後傾を促すことで、中殿筋が発火するといったことは多々あります。大腿筋膜張筋ではなく中殿筋が発火することは、アライメントが適切に保てているサインになります。

 

ヒップヒンジのエクササイズにおいても、一見腰椎が伸展しているようなアライメントに見えても、その方は脊柱起立筋ではなく大臀筋やハムストリングスの筋収縮を感じられるといったケースもあります。

脊柱のカーブには個人差があるため、一見腰椎が伸展しているように見えてもその人にとっては中間位ということもあります。「筋収縮が感じられていれば、見かけ上のアライメントが崩れていてもOK」ではありませんが、適切な運動が行えているかを判断する一つの指標として有用だと感じています。

2. 脳に求心性刺激を与える

筋収縮は固有感覚情報であり、脳への強い求心性刺激です。

筋からの固有感覚情報は脳の頭頂葉へと渡り、処理されます。頭頂葉はボディスキーマ(身体図式)と関わる部位であり、身体図式を明確にすることは、筋緊張を適切に保つ・コントロールすることや、巧緻性を高めることに繋がります。

 

また、機能神経学のスペシャリストであるDr. Robert Melliloは著書において以下のように述べています。

 

重力が我々の脳に加えている刺激は、頻度と長さを基準にすれば、他のどの刺激よりも大きいのです。我々が動けば、どんな動きも必ず脳を刺激します。たとえば、ただ立ち上がるにしても重力に反して筋肉が抵抗しなければなりません。この重力に対して繰り返す筋肉の活動が、脳の発育に関して最も重要な要素なのです。

 

トレーニングで筋収縮を知覚し、頭頂葉へと大きな求心性刺激を与えることは、運動不足により脳への感覚情報の入力が不足傾向にある現代人にとって大きな一つのメリットであると考えています。

筋収縮を感じられない場合

筋収縮を感じられない場合、以下のような問題が考えられます。

    • 関節のマルアライメント
    • 運動パターンの問題
    • 筋の過緊張or過剰な抑制
    • ボディスキーマの崩れ

     

    上記の問題に個別に介入することも必要かもしれませんが、多くの場合は一つ一つが独立した問題ではなく、他の問題との関係があることがほとんどです。

    運動不足や偏りのある生活は、関節のマルアライメントや筋の過緊張や抑制に繋がりますし、そうなれば運動パターンも乱れます。

    しかし、筋収縮の不知覚自体は少しのテクニックやアプローチを行うことで解決することがほとんどです。そのようなテクニックを用いながら様々なエクササイズやトレーニングを行うことで、固有感覚を含む感覚機能を活性化、運動の多様性を培うことで上記の問題も自然と解決します。

     

    具体的なテクニックにおいてはアクティベーションドリルの他に、筋収縮を感じやすいポジション(ボトムポジション等)にて5秒〜10秒程度キープし、その間に適切な筋収縮を感じられるかどうかを確認するという手法を私は選択しています。

     

    上記のようなスプリットスクワットの場合、前側の大臀筋・大腿四頭筋・ハムストリングスの筋収縮をまずは感じられるか、です。

    私は多くのコレクティブエクササイズとトレーニングで、上記のような筋収縮が感じられやすい姿勢でまずは筋収縮を感じる→そこから動作を繰り返すといったプログレッションを活用しています。

    まとめ

    もちろん全てのエクササイズやトレーニングに当てはまるモノではありません。

    しかし、動きを鍛える上でも筋への介入が必要となるケースは多々あり、その際に筋収縮を感じられることは運動や動作を評価するために必要な要素かと思っています。

     

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