アスリートや学生アスリート、その保護者から「体幹トレーニングを教えて欲しい」と言われることが多々あります。詳しく話を聞いてみると、「体幹を鍛えることによってスポーツのパフォーマンスが高まる」と理解していることがわかります。

 

体幹トレーニングは自分も指導の中に取り組むトレーニングではありますが、選手や一般の方からはいろいろと誤解であったり、過大に考えられているところもあると感じています。

本日は体幹トレーニングとパフォーマンスアップの関係性について、現段階での自分の考えをまとめたいと思います。

体幹トレーニングの定義

「体幹」と一言に言えど、明確な定義はありません。人によって定義がバラバラです。なので、まずは「体幹」とはどこの部分を指すのか、明確にする必要があります。

一般的に体幹とは、下記の画像のような二つの考え方に分類されると思います。

 

一つは胸郭から骨盤までの胴体部分を「体幹」とする定義。もう一つはインナーユニットが存在するお腹周り、腰椎骨盤帯のみを「体幹」とする定義です。

 

Gray Cookらが提唱するジョイント・バイ・ジョイント・アプローチでは、肋骨に覆われる胸郭部分は「モビリティ(可動性)」の役割が大きい部位とされ、腰椎骨盤帯(上記ではインナーユニットの部分)は「スタビリティ(安定性)」の役割が強いとされ、役割とそこへのアプローチ法も異なることが多いです。

モビリティが役割の関節では、大きく関節を動かし、柔軟性や可動性を取り戻すエクササイズを、スタビリティが役割の関節では、関節の動きをコントロールし、安定性を高めるエクササイズ、といった考えが基本になります。

 

私はその役割の違いから、狭義での体幹は「腰椎骨盤帯」と、広義での体幹を「体幹」と呼ぶことが多いです。

しかし、これらはどちらが正しくてどちらが間違い、というわけではありません。しかしながら、二つの定義があるということを理解しておくことは、指導者の間であったり、指導者と選手がコミュニケーションを取る上で重要だと感じています。

体幹トレーニングの目的

私が考える体幹トレーニングの目的は「動きの中での体幹(胴体部分)の安定性向上」です。「動きの中で」がポイントとなるかもしれません。アスリートのトレーニングの目的はパフォーマンスアップであるわけですが、それはほとんどイコール関係で、「動きの質の向上」であることが多いと思います。

 

「より速く走りたい」「より素早く動きたい」「より力強くなりたい」などなど、細かいニーズがなんであれ、そこには動きが存在するわけです。

これはフィジカルコンタクトも同様です。よくフィジカルコンタクトは体幹部分のみで考えられ、体幹を鍛える=フィジカルコンタクトが強くなると考えられています。しかし、実際は下半身も上半身も体幹部と同様にフィジカルコンタクトに関わります。

もし仮に体幹部分のみしかフィジカルコンタクトに関わらないのであれば、椅子に座って足を浮かせた状態と、立った状態でどちらがフィジカルコンタクトに耐えられるか試してみてください。すぐにわかるかと思います。

 

走る、ジャンプする、減速をして切り返す、方向転換をする、フィジカルコンタクト、ボールを蹴る・投げる、全ては「動き」なわけです。

これらの動きと体幹部の関係性を考えてみると、良いパフォーマンスを発揮出来ている際は、体幹部は過度に曲がったり、腰が反り過ぎたりしていることは少ないかと思います。

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体幹トレーニングの目的は、このような動作において体幹部を安定させることなわけです。そう考えると、プランクに代表される多くのマットの上で「同じ姿勢を30秒キープ」と行うような体幹トレーニングでは「動き」というものは存在せず、体幹トレーニングのゴールである「動きの中での安定性」といった要素は存在しないことに気付くかと思います。

また、実際のパフォーマンスレベルの動作では非常に大きな力の発揮や速度といったものが多く存在します。つまりは大きな力発揮や速い速度の中でも体幹部が安定化するようなトレーニングも考えないといけません。

それらを考慮すると大きな筋力発揮であったり速度が求められるウェイトトレーニング、プライオメトリクス、ムーブメントトレーニングなどの重要性であったり、これらも「体幹トレーニング」という要素を含んだトレーニングであると考えることも出来ます。

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こちらは私のRDLの動画ですが、このような筋力発揮が求められるトレーニングでも体幹部分が真っ直ぐに保たれていることがご理解頂けるかと思います。体幹部が動的に安定出来るからこそ、股関節で大きい力が発揮出来ます。

プランクに代表されるマット上での体幹トレーニングで大事だとされる「頭からお尻まで真っ直ぐ保つ」というポイントは、このようなトレーニング・動作に発展した際に体幹部を真っ直ぐ保つためであって、マット上での体幹トレーニングはその為の導入に過ぎないと思っています。

まとめ

マットの上で行われるような体幹トレーニングのみでは負荷も軽く、それだけではパフォーマンスアップまで繋がりにくいと思っています。しかし、それらが決して無駄で必要のないものといったわけではなく、私もトレーニングの導入としては様々な姿勢で行っています。

トレーニング法に正解はありません。不必要なトレーニングもありませんし、万人に合ったトレーニングというものも無いかと思います。結局は、「その人に合った」トレーニングというものが選択していくことが必要なんだと思っています。

 

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