機能改善やパフォーマンスの向上のためには、「筋肉ではなく、動作を鍛える」といったコンセプトが広まっていますが、動作というと例えばスクワット動作であったり、腕立て伏せ、懸垂といった高閾値な動作を指す場合も多いのではないかと思います。

人間の動き(パフォーマンス)といったものを考えた場合に、筋力であったり運動経験やスキル等が大きく結果に関係する高閾値な動作では無く、日常生活から無意識的に発生している低閾値かつ原始的な動作に注目することも大事ではないかと感じています。

低閾値な動作である歩行

日常生活から無意識的に発生している動作といえば、やはり「歩行」が挙げられると思います。特別なケースでない限り、歩行は全人類が日常的に行う動作であり、生きる為に絶対に必要な運動機能です。

現代では歩かなくてもいろいろ手に入る時代にはなっていますが、本来ヒトは食物食材を手に入れる・運ぶ為にも、危険や不快な現象から逃げる為にも、身体を移動させる為には歩かなければなりません。

歩くということは筋肉や骨にも刺激を与えるということであり、それらは筋力や筋肉量の維持、適切な骨の成長にも必要な刺激です。

歩行時間の減少や運動量の低下により筋肉量が低下することによって、インスリンの感受性が低下・血糖をコントロールできないため、糖尿病のリスクが増大したり、疲れやすい・朝起きれない等の副腎疲労の問題にも繋がることも予想できます。

 

また、ヒトの感情や行動、姿勢なども司る脳の機能を維持・向上するためには酸素やブドウ糖、アミノ酸などといった「物質的な栄養」と、運動などによって得られる固有感覚や平衡感覚や視覚といった「感覚情報」が必要になりますが、歩行とは一日に何千何万と行う動作であることから、脳に最も頻繁に感覚情報を送ることが出来る運動(動作)だと考えることが出来ます。

ヒトは歩行や運動によって適切な感覚情報という名の刺激を脳に送り続けることで、脳の数多くの機能を維持させています。

しかし、何かしらの問題で歩行の量や質に問題が出ることで、脳への感覚情報の減少に直結し、さまざまな問題を引き起こします。

例えば思考力の低下であったり、抑うつであったり、痛みを感じやすい、身体が常に緊張している、姿勢不良などの要因はこの辺りも大きく関係すると言われています。

ヒトの生きるための行動や、運動器や脳神経から考えても、歩行というのはヒトが健康的に生きる為に必要な運動機能であると言えるかと思います。

歩行はスポーツや他の運動の土台

歩行は全身の状態を反映させた低閾値の三面運動です。

歩行には各部位の活性と抑制のコントロールであったり、ヒールストライク(踵接地)に必要な足関節の背屈であったり、立脚中期で求められる立脚への重心移動や回旋運動、上肢ではアームスイング等と、低閾値の運動ながら多くの運動に必要となる三面上での動きが求められます。

つまり、「歩行はその人の基本的な運動機能を表す」と言えるのかもしれません。

もちろん、それはスポーツパフォーマンスの土台にもなります。走動作、ジャンプ動作、野球、サッカー、テニス、バスケ、バドミントンetc…全ての運動は三面運動です。

スポーツやトレーニングに特異的なテストの数値や、プッシュ&プル等の運動パターンが向上・改善しても、それらの土台となる原始的な三面運動である歩行が改善されていなければ、全体的な人としての動き・パフォーマンスアップには繋がりにくくなるかもしれません。

適切な三面運動のために呼吸エクササイズを行う

さまざまなトレーニングや治療のメソッドの流れにおいて、方法論は違えど抑制活性統合といった過程を辿ります。

エクササイズでまず考えるべきは過緊張の抑制です。その過緊張の抑制に必要なエクササイズの一つが、呼吸エクササイズではないでしょうか。

呼吸エクササイズを行うことによって、固有感覚や前庭などの感覚器の活性化と同時に、副交感神経を賦活化させ、過緊張を抑制することが可能です。

また、副交感神経を賦活化することは前庭自律神経系の賦活化にも繋がるため、エクササイズを行う姿勢(運動姿位)に対して耐性を作ることが出来ます。

 

さまざまな姿勢に耐性を作ることができれば、身体は過緊張なく活性と抑制をコントロールして動くことが容易になり、歩行動作を含む重心移動や回旋が伴う多くの動作の質の向上に繋がります。

過緊張が抑制でき、三面運動を行えるようになれば、重心移動・回旋動作が含まれる多様なエクササイズを行うことによって、さまざまな筋肉や身体の使い方の学習、そしてそれらから得られる感覚情報を脳に送り、運動器・脳神経の機能維持・向上、そしてパフォーマンスの向上が可能です。

過緊張が抜けないまま、つまり三面運動が失われたままエクササイズやトレーニングを行うことで、より身体の緊張は増し、腰椎や膝・肩などの特定の部位にストレスをかけることに繋がったり、緊張の更なる亢進に繋がります。

まとめ

トレーニングを行なっていく中で、歩行動作という大きな筋力やスキルが求められない低閾値の三面運動に注目することは一つ大きなポイントだと思います。

目的が機能改善・パフォーマンスアップ・体力の向上、そしてシェイプアップやダイエットにしろですね。

個人的には、三面運動のスクリーニングとして歩行を評価したりもしています。

 

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