近年では筋骨格系のみならず脳神経や感覚器(視覚・前庭・触覚等)などもパフォーマンス(人の動き・運動)に関わる重要な要素として考えられています。

私自身もいろいろと学んでいますし、実際に現場でそれらのエクササイズを使うこともあります。

しかし、全ての要素に個別にアプローチしている時間はありませんし、アプローチをしたくても他に優先してやるべきことがある場面も多々あります。

その中で自分が大事にしている考え方が「還元主義論」と「全体論」です。

還元主義論と全体論

還元主義論とは、「複雑な物事であっても構成する要素を分解することでそれらの性質を全て理解出来るはず」という考え方です。

還元主義論をパフォーマンスに当てはめると、パフォーマンス=筋力+柔軟性+バランス力+といったところでしょうか。筋力や柔軟性、、脳神経、感覚器などのパフォーマンスに関わる要素を理解していくことによってパフォーマンスを理解出来る。言い換えると、パフォーマンスに関わる要素を個別にアプローチしていくことで、パフォーマンスが向上する、といった具合です。

 

全体論とは、全体は部分の総和以上のものであるため、構成要素をバラバラに分解しても全体を理解することはできない、という考え方です。

何故なら、各構成要素の間に存在する相互作用にも同等かそれ以上の価値があるため、分解することによって全体は見えなくなるためです。つまり、パフォーマンス=筋力+柔軟性+バランス力ではなく、それぞれの構成要素が相互作用することによって初めてパフォーマンスというものが存在する、といったものです。

 

例えば、カレーで考えてみると、世界一美味しい食材を集めても世界一美味しいカレーになるかと言えば違うでしょう。そこには食材同士の相性であったり、各食材が相互作用することによって生まれるものがあるからです。

 

トレーニングを考える上で、全体論的思考が必要な理由は大きく二つあります。

各要素へのアプローチでは時間が足りない

例えば、大臀筋の筋力を高めるために大臀筋の筋トレをする、ハムストリングの柔軟性を高めるためにハムストリングをストレッチをする、バランス力を高めるためにバランストレーニングをすると一つ一つの要素にアプローチしているとキリがありません。

大臀筋・ハムストリング・腹筋群・視覚・バランス・コーディネーション・触覚・足底・股関節の伸展・肋骨の内旋・後縦隔の拡張・ZOA・横隔膜・コアスタビリティなどなど、これら全てパフォーマンスを考える上では大事です。

全て大事なんですが、個別でのアプローチではキリがないため、出来るだけ多くの要素を含んだトレーニングを考える必要があります。

各要素の相互作用が無視されている

世界一美味しい食材を集めても、おそらく世界一美味しいカレーが生まれないように、筋力や柔軟性、バランス力などそれぞれの要素を高めてもパフォーマンスが高まるかと言えば、イコールではないかと思います。

そこに存在するはずの各構成要素の相互作用を考慮したトレーニングも行うべきではないでしょうか。

相互作用を考慮するということは、部分ではなくて全体を見る必要がある、つまりは全体論的なトレーニングが必要なのではないかと思います。

"動き"という全体

全体を考慮したトレーニングとは何でしょうか?

パフォーマンス=動きだと考えると「動きを鍛える」といった考えが一つ役立つかもしれません。

筋力や柔軟性といった分解された要素をトレーニングするのではなく、動き=全体として考えて、動きをトレーニングする。動きを鍛えるというのはバーベルスクワットでもそうかもしれませんし、ジャンプ系のトレーニング、アスリートの場合は競技の練習になるかもしれません。

スクワットに関わる要素を大臀筋+大腿四頭筋+ハムストリング+腹筋群+背筋群+股関節モビリティ+足関節背屈と分解して考えるのか、スクワットには全身の筋肉であったり、視覚や前庭などの感覚器、脳や神経系が相互作用して発現するもの、つまり全体として捉えるのか。

そういった考えを持っていると、ジムの中で何をするべきか、どういったトレーニングを優先してやるべきかが明確になるのではないかと思います。

まとめ

とは言え、還元主義論的な考え方が必要ないというわけではありません。

単一の筋の弱化であったり、感覚器の問題がパフォーマンスのウィーケストリンク(妨げ)になっているのであれば、それらにアプローチすることでパフォーマンスが高まる・最適化することもあるでしょう。

現場では、ウォームアップでウィーケストリンクとして疑われるものに介入し、次に動きとして統合して強化していく、というのは盛んに行われていますね。

 

今後はよりパフォーマンスに関わる各要素が理解されていく中で、一元論的な見方ではなく、二元論的な見方がパフォーマンスを高める・最適化するために必要になるのではないかと思っています。

 

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