※少し考え方が変わり、現在はRDLよりも先に片脚のプッシュ種目等を行なっております。途中に別記事のリンクを貼っていますので、そちらも合わせてご覧下さい。
スクワットはトレーニングの王様とも言われ、トレーニングの目的がなんであれ、スクワットをされる方は多いと思います。
「スクワットは基本種目ですのでスクワットから行いましょう」という文言は、多くのメディアやトレーナーからの発信でも多く耳にします。
しかしタイトルの通り、私はまずはスクワットをやるのではなく、ルーマニアンデッドリフト(以下RDL)を行うことが多いです。
(1日のプログラミングがRDL→スクワットという話ではなく、トレーニングのプログレッション、運動の学習順序の話です。)
スクワットとRDLの違い
スクワットとRDLはどちらも下肢のみならず、全身をトレーニングできる種目です。
そんな両種目ですが、両種目の違いをいくつかの観点から考えていきたいと思います。
足関節から種目の違いを考える
「RDLってどんなトレーニングなの?」という方はまずは下記の動画をご覧ください。
スクワットとRDLは股関節・膝・足首が曲がることによって動作が行われますが、RDLはスクワットに比べて膝関節と足首の曲がりは小さく、股関節の運動によりフォーカスしたトレーニングです。
そのため、足首や膝の可動性の観点からはRDLの方が実施は容易と考えることができます。
「足首に問題があるのであれば、ハーフスクワットをやればいいのでは?」という考え方もありますが、足首の可動性(特に背屈)に制限がある状態では、スクワット動作に負荷をかけるべきではないと考えています。
足首の可動性に制限がある人はハーフスクワットまでは見かけ上問題なくしゃがめるかもしれませんが、そのハーフスクワットは直立姿勢と制限のあるスクワットの間に存在しているだけで、足首の可動性に問題がない人のハーフスクワットとは全くの別物です。
そのため、見かけ上のフォームに問題はなくとも、腰に大きく負担がかかっていたり、誤ったスクワット動作の習得(強化)に繋がる恐れがあります。
ヒップヒンジの観点から
先ほどのRDLの動画では股関節が折りたたむように動作が行われていますが、股関節が折りたたむように曲がる動作のことを「ヒップヒンジ」と呼びます。
RDL ・ヒップスラスト・ケトルベルスイングなどの種目は股関節に比べて膝関節の動きが少なく、ヒップヒンジを中心とした運動の代表的なトレーニングです。
スクワットやランジでもヒップヒンジの動きはもちろん存在しますし、動作の中で重要な要素です。
しかしながら、股関節の筋力の低下や体幹部の問題によって「膝が過剰に前方に動く」などの誤った動作が起こりやすい動作でもあります。
また、見かけ上は正しく動作を行えていても、股関節と膝関節の筋力のバランスの改善は難しいです。
大殿筋やハムストリングスといったパフォーマンスに重要な筋をフォーカスしてトレーニングするため、その筋を使う動作である「ヒップヒンジ」の動きを学習し、鍛えることはトレーニングにおいて一つ重要な要素だと考えています。
ヒップヒンジのためのコレクティブエクササイズ
ウェイトトレーニングでのスクワットやRDL、またスポーツで高いパフォーマンス発揮する際にも力強いヒップヒンジの動きが必要です。
ヒップヒンジを適切に起こすことが出来る筋力も大事ですが、それと同時に「力強いヒップヒンジの中での体幹部の安定」が求められます。
これはスクワットやRDLなどのウェイトトレーニングのみならず、日常生活やスポーツパフォーマンスにも必要な要素の一つですので、パフォーマンスの向上にも役立つことが予想されます。
体幹部の安定性を養う種目としてフロントブリッジ等が思いつくかと思いますが、ヒップヒンジに必要なのは「ヒップヒンジの動きの中での体幹部の安定」ですので、動作の中に股関節の動きがある種目も同時に行うのがオススメです。
レッグローワリング
ヒールトゥバット
例えばヒップリフト(グルートブリッジ)のような体幹トレーニングにおいても、単に30秒同じ姿勢をキープするのではなく、四肢の動きがある中で「体幹部の無駄な動きをコントロールする」ことを目的とした上記のような種目はパフォーマンスアップにとって重要です。
これらのようなコレクティブエクササイズであったり、RDLの導入に向けた立位でのエクササイズをいくつか行うことで、代償動作が少なく効率よくRDLを実施出来るはずです。
RDLのよくあるエラーと対処法
※2020年9月5日に追記しました。
コレクティブエクササイズを通じてヒップヒンジを学習できれば、いよいよRDLで負荷をかけていきます。
RDLでよくあるエラーは、
- 膝が曲がりすぎる
- 腰が反ってしまう
- バーが身体から離れる
の3点かと思います。
そのようなエラーに関してはさまざまなキューイングや修正方法があると思いますが、私がRDLを指導する際は、ボトムポジションで20〜30秒キープといったエクササイズをRDLの導入で行うことで、そのようなエラーが減ってきていると感じています。
動きながら動作を修正していくのではなく、はじめにボトムポジションで適切な姿勢を保つことで、使用している筋肉の確認であったり、動作の中間地点(ボトムポジション)を正しく認識できるようになるため、フォームの習得が速くなるのではと考えています。
プログラム例としては、20kgバーで30秒キープとヒールトゥバットのようなコレクティブエクササイズをスーパーセットで行い、ボトムポジションの姿勢を容易に取れるようになれば、RDLを行う、といった流れです。
それでもなかなか腰が反ってしまう、といったケースでは、RDLよりも先に片脚で行う下肢のプッシュ種目を用いるようにしています。
まとめ
RDLはパフォーマンス発揮において重要な「ヒップヒンジ」をトレーニング可能な優秀なトレーニングです。だからこそ、しっかりとしたフォームで行うことが重要です。
非常に良いトレーニングですので、是非とも行なってみてください。
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