先日の記事の中で、「運動の多様性が、変化する状況に適応するための力となります。」と書きました。

 

本日は「運動の多様性」について、考えていきたいと思います。

「運動の多様性」の定義

そもそも「多様性」という言葉の定義は何でしょう?

ウェブで検索してみると、

いろいろな種類や傾向のものがあること。変化に富むこと。

とあります。よく聞く使い方では、「生物の多様性」「組織の多様性」等でしょうか。

 

では、運動の多様性とは何でしょうか?

明確な定義はないため、これは私の考えとなりますが、先ほどの言葉に「運動」というワードを追加して、「いろいろな種類や傾向の運動。変化に富んだ運動。」と捉えています。

運動の多様性と適応力

具体的に「いろいろな種類や傾向の運動」とは何でしょうか?

いくつもの考えがあると思いますが、二つの観点の共通点から考えていきたいと思います。

MovNat - ナチュラルヒューマンムーブメントスキル

1つはアメリカのMovNatというトレーニングの教育団体です。

まずは参考にYoutubeビデオをご覧ください。

彼らは「ナチュラルヒューマンムーブメントスキルを高める」、つまり「人間の持つ自然な動きをバランス良くトレーニングしよう」といったコンセプトでトレーニングを行なっております。

 

ナチュラルヒューマンムーブメントスキルは

・Locomotive(移動)
Walking(歩行)、Running(走る)、Balancing(バランス)、Jumping(跳ぶ)、Crawling(這う)、Climbing(登る)、Swimming(泳ぐ)・Manipulative(操作)
Lifting(持ち上げる)、Carrying(運ぶ)、Throwing(投げる)、Catching(捕る)・Combative(攻撃)
Striking(打撃)、Grappling(組む)

上記のように分類されており、それらの動きをトレーニングすることで身体能力の向上を目指しています。

中村和彦教授 -「36の基本動作」

2つ目は山梨大学の中村和彦教授の運動種類の分類です。

中村教授は、下記のように人間の基本的な動きを「36の基本動作」として分類しています。

共通点からの考察

こうして考えてみると、MovNatのナチュラルヒューマンムーブメントスキルにしろ、中村和彦教授の36の基本動作にしろ、共通点が見えてきます。

例えば、両方ともウェイトトレーニングや体幹トレーニングの考えには存在しない「移動」というカテゴリーが存在していたり、自分の身体だけでなく物体を操作することも運動として捉えているところです。

これらの運動はヒトが本来持っている動きであるため、競技で求められる動き・スキル・テクニックの土台となります。

 

サッカーで「ボールを蹴って味方にパスをする」ということで考えた場合、優秀な選手はそうでない選手に比べて引き出しが多彩です。Aパターンという身体の使い方だけでなく、Bパターンでも、Cパターンでも同じ「ボールを蹴ってパスをする」という課題を遂行することが出来ます。

つまり、運動の多様性があるということは、「目の前の課題を解決する能力が高い」と言い換えることが出来るのではないでしょうか?

上記のようなことを考えると、多様性=パフォーマンスの土台であり、課題への解決能力(適応力)であると考えることが出来ます。

さまざまな運動ができるようになること、つまりは運動の多様性を培うことで、スポーツの最中に最適な運動を引き起こすことが出来る可能性が高まります。

運動の多様性と新しいスキルの習得

運動の多様性があると、新しいスキルの習得にも役立つのは想像がつくかと思います。

それは競技のスキルのみならず、ウェイトトレーニングのフォームにしろ、ムーブメントトレーニングの動きにしろ同様です。

短期的に見れば、サッカーボールを蹴ったほうがサッカーは上手くなりますし、野球をすればするほど野球は上手くなりますが、のちに運動の多様性が欠如することによるパフォーマンスの伸び悩みが問題となるかもしれません。

 

さまざまなスポーツのワールドクラスのプレイヤーを見渡せば、野球の前田健太選手は水泳の西日本大会で優勝していたり、サッカーのイブラヒモビッチ選手はテコンドーの有段者であったり、エデン・アザール選手も幼少期に柔道をやっていたり、バスケのレブロン・ジェームズは高校でバスケと同時にアメフトをしていたことで有名ですね。

(アメリカでは高校で複数スポーツを行うのが一般的みたいですね)

 

もっと簡単に考えれば、優秀なアスリートの多くは「そのスポーツしか出来ない選手ではない」ということかと思います。他のスポーツでも優秀な成績を収めるほどのアスリートとしての能力は有していることが多いのではないでしょうか?

まとめ

小学生のときは専門競技のスキルがまだ未熟なので、サッカーでもバスケでも野球でも、運動神経が良い子はどんなスポーツでも上手に出来ます。

しかし、中学以降はスキルがより習熟したり連携面などの要素が大きくなってくるため、ただ単に運動神経が良くても経験者の中ではなかなか活躍できません。

そのためか、運動の多様性、俗に言う運動神経の大切さが忘れ去られてるような気がします。

 

野球でセンター前に抜けそうな当たりをショートがギリギリ捕球し、その勢いのまま回転しながら一塁が捕れるところに投げる。バスケのゴール下で相手ディフェンダーを交わし、難しい体勢になりながらもシュートを打って転けないように着地する。サッカーで難しい体勢になりながら、ボールを処理するなど、多様性が求められる状況が数多くあります。

これらは運動の多様性があってこそ、成し得ることができるスキル・ワザではないでしょうか??

ナチュラルヒューマンムーブメントスキルであっても、36の基本動作であっても、基本的な人間の運動能力を高めるということが、一つのスポーツ動作において余裕を生むため、ケガの予防・パフォーマンスアップにも有効なのではないかと考えています。

 

追記

テニスのダニエル太郎選手が行なっている、イド・ポータルのMovement Cultureもまさに運動の多様性ですね。

 

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