よく、「腰痛の原因は◯◯です!」であったり、「膝が痛いのは〇〇が原因です」といった文言を耳にしますが、果たして、この考え方は正しいのでしょうか?

 

実は原因というものはハッキリわからないことがとても多いです。

ブログをご覧になっている方の中にも、「身体に痛みがあって病院に行ったけど、原因はハッキリしなかった」という経験があり、モヤモヤしている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

そのモヤモヤは「原因」と「要因」といった物の捉え方をすることでスッキリするかもしれません。

原因と要因、言葉の定義

原因の定義

原因とは、「ある物事や状態を起こしたもの」とされます。

原因とは基本的には一つであり、複数ではありません。

例えば、

「この腰痛は腹筋が弱いのが原因です。腰を支えてくれる腹筋を鍛えましょう。」

「膝が痛いのは股関節の使い方が原因です。トレーニングで股関節の使い方が上手くなると、膝へのストレスが減って痛みは消えますよ。」

上記のような考え方は「原因」を中心に痛みを捉えていると言えます。

 

次に要因とは、「ある物事や状態に影響のあるもの」であり、要因は一つではなく、複数あります。

先ほどと同じく、身体の痛みを例にするなら、

「この腰の痛みは腹筋の弱さだけではなく、姿勢が悪くなっている事やデスクワークなどの生活習慣が関わっていると考えられます。」

「膝が痛いのは、身体の使い方や足首の硬さ、太ももの筋力の低下などが合わさって、膝にストレスが掛かっているからです。」

このような考え方は痛みを「要因」から成るものと考えています。

 

「原因」を中心とした説明の方が何が悪いのかがわかりやすいため、説明を理解しやすいかと思いますが、物事を「原因」だけで考えていると、

「腹筋を鍛えても腰が良くならなかった。」

「いつまでたっても、膝の痛みが良くならない。」

「仕事の環境が変わって、痛みがマシになった。」

といったことが起こり、説明と結果に矛盾が生じてしまいます。

 

何故なら基本的に「痛み」は何か一つの原因によって起こるものではないからです。

多要因システムとして考える

この考え方は何事においてもそうかもしれませんが、特に慢性的な痛みに関しては、「多要因システム」として捉える事が重要です。

 

先ほど説明しました通り、要因といったものは複数存在します。

痛みの要因として例を挙げるなら、筋力の低下・姿勢の悪さ・柔軟性・身体の使い方・生活習慣・ストレス・栄養の偏り・睡眠不足・仕事中の姿勢(デスクワーク、ヒールを履く等)などなど、多くの要因が痛みに関わっています。

 

私は運動指導をする際にあたって、評価を通じて出来るだけ最も大きい要因を探し出し、そこにアプローチを行うようにしています。

しかしながら、それはハッキリ言ってわからないことも多いです。

仮に腹筋を鍛えて腰痛が消えたとしても、それは本当に腹筋が弱かったために起こった痛みなのかは断定できません。腹筋を鍛えることですら、関わる要因が多すぎるからです。

なので、トレーニングやコンディショニングにおいては多角的なアプローチが必要だと考えています。

 

最も大きい要因を探しつつも、考えられる要因に多角的にアプローチしていく。それは痛みがない方や、スポーツ愛好家、アスリートにとっても同じです。

人間の身体も多要因システムだと理解し、多角的にアプローチをする。

そうすることで、何か身体に問題が起きた時でも耐えることが可能な丈夫な身体、レジリエンスを獲得することが出来ると思います。

 

元ハンマー投げ選手の室伏広治さんが桐生祥秀選手のトレーニングを指導していた際におっしゃっていた言葉です。

「これをやれば100mを速くなるという為の練習は1個もなくて、全体としていくつかのトレーニングの内容を複合的にやる事によって、あらゆる方向から鍛えていく事が1番の目的だと思ってます」

その後に桐生祥秀選手が、日本人初の9秒台である、998の記録を出した事はあまりにも有名ですね。

(室伏さんのトレーニングも一つの要因に過ぎませんが)

まとめ

・基本的には「原因」は一つで、「要因」は複数存在する。

・「原因」を探すことは大事。しかしながら人間の身体や、痛みのメカニズムを含む多くの事柄は多要因システムだと理解する。

・多要因システムには多角的にアプローチをする。

 

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